幾何公差と表面性状

2. データムについて



「データムとは」
 「形体の姿勢偏差、位置偏差、振れなどを決めるために設定した理論的に正確な幾何学的基準」と定義します。つまり、加工や寸法測定をする際に、「この面または線を基準に加工・測定しなさい」 という基準を表します。  「設計」「加工」「計測」の共通の情報が「図面」です。この3者についての作業性および機能を考慮した共通基準として満足できる部分をデータムとして設定することが理想的です。そして、図面の中でデータムは基準を表すための記号として用いられる。

データム記号の表し方
 基準とすべき面(あるいは線や点)に対して、図面上で下記のデータム記号を付ける。データム記号を表す三角記号には白抜きと黒塗りの2種類があり、どちらを使っても構ない。 データム記号の向きにかかわらず、アルファベットは必ず図面の見る向きに合わせる。これは切断線や矢示法にも共通していえることで、製図の作法上、寸法線と併記して表す、はめあい公差記号や、ねじの種類やその等級を表すアルファベットなどを除いて、記号として用いるアルファベットは必ず図面の見る向きに合わせる。

データム記号の表し方



データム記号の表し方



図面にデータムを指示した場合、その面を定盤などに押し当て、それを基準に測定することを意味します。つまり、より精密な形状を持つ定盤などと接することで安定させ、その定盤などを基準に置き換えて計測を行うのです。この定盤など代替基準となるものを「実用データム」と呼びます。