円筒絞りの基本

4.円筒絞りに於ける「限界絞り率」



  割れを発生させずに絞ることが出来る最小の絞り率を 「限界絞り率」 という。




絞り加工では、ブランク径の大きさを最小にし、少ない加工回数で製品寸法とするために、「絞り率」を出来るだけ小さくしたいが、ある限界を越すとブランクが破断し絞れなくなる。
この、加工が可能な絞り率を「限界絞り率」という。


一般的な、「限界絞り率」は、表に示すような値が用いられている。


加工する材質によって[限界絞り率]は異なるため、絞り工程を考えるときは、適正な値を採用し、絞り率を決定をする。


この値は、シワ押えの有無にも関係する。シワ押えの無い場合には、出来るだけ余裕を取り、シワ押えがある場合でも、極端に小さな値を取らないようにする。



材質による限界絞り率

材  質 絞り率 再絞り率
絞 り 鋼 板  0.55 〜 0.60  0.75 〜 0.80
深 絞 り 鋼 板  0.48 〜 0.55  0.75 〜 0.80
ステンレス板  0.50 〜 0.55  0.80 〜 0.85
メッキ鋼板  0.58 〜 0.65  0.85 〜
アルミニウム板  0.53 〜 0.60  0.75 〜 0.85
ジュラルミン板  0.55 〜 0.60  0.85 〜 0.90
黄銅板  0.50 〜 0.55  0.75 〜 0.80
銅板  0.50 〜 0.55  0.75 〜
亜鉛板  0.65 〜  0.85 〜