幾何公差と表面性状

10.まとめ



幾何公差とデータム

 データムについて説明しましたが、実際の製品図ではデータムとの関係を表す平行度や直角度、位置度などを指示しているものが少ないと思います。これは、データム(基準)だから、それなりの形状精度が必要という暗黙の了解で指示を省略しているためだと思われます。「基準のあいまい性」を排除するというJISの目的に反している。また、「設計」・「加工」・「計測」の共通の情報 として「データム+幾何公差」は必然であると考えます。

 JISには、「相互に関連したデータム形体および実用データムの形体の精度は機能上の要求に対して十分でなければならない。そのためデータム形体には、形状公差を指定することが望ましい。」と記載されている。 データムの「基準となる面あるいは線」は、必ず精度が必要です。

実際の計測では、測定治具を使用するものが多く、データムに関する意識が薄いと思いますが、測定するときは製品のデータムを正確に理解し測定すること。また、客先とのトラブルにならないよう事前に客先と測定基準、方法等、打合せてトラブルにならないようにすること。品質保証をするために幾何公差について理解を深めるよう頑張って勉強して下さい。



表面性状(表面粗さ)

 表面粗さは「粗さ測定機」で計測しないと面精度の良否が判定できないため、加工の現場では計測ができないため、目視.手触りなどで作業者がある程度、判断しているのが現状である。粗さはノギスなどで簡単に測定が出来ないので「粗さ基準の見本」などを用意し、良否が区別できるようにするのも一つの方法である。
通常のプレス品では表面粗さの指示は殆どないが機能部品または単品加工など、粗さ指示がある場合に必要な面粗さで仕上げが出来るように、切削.ワイヤーカットなど加工条件を整えて置く必要がある。